私が寄付をする理由
お金をどう使うか
もともと物欲のない私は働き始めて給料をもらうようになっても 半分も使わないで全て貯金に回していた。 その結果、半年くらいで貯金が100万円を超えてしまって このまま貯金をしていても仕方がないのではという考えを抱くようになる。
それで、お金の使いみちとして投資に興味を持つようになって、投資信託についての本を買った。
それから間もなくネットで証券口座を開設して、投資信託への積立を始めた。 はじめは月2万円。そのうちNISAを始めたり、1年暮らせるくらいの現金が貯まった頃には月20万円に増やした。
けれど、お金の使いみちについて考えているうちに、もう一つ気になることが出てきた。
正しく生きたい
わたしは自分のことが好きでない。それは学生時代に色々あったからなのだが、 それ以来、どうしてこんな人間になってしまったのか、こんな人間が何で生きているのか、 そんなことばかり考えていた。
けれど、そんなことを考えているうちに、いずれにせよわたしは生き続けるのだと悟った。 死を躊躇うのは、多分、わたしが未来に対して希望を持っていたからだ。
それならせめて正しく生きていたい、より善い人間になりたい、 こんな思いでわたしは哲学に興味を持つようになった。
初めての寄付
私が初めて寄付をしたのは入社して三年目の6月、カタリバという子供の支援を行っている団体だ。月1000円。 この頃は生活も安定してきて投資も含めたお金の使い方全般を見直していた時期でもあって、 そのなかの一つが寄付をするということだった。
入社した時点から自己肯定感が相当低かった私は、もらっている給料全額を自分のために使うこと自体に疑問を感じていた。
そういう中で子どもに勉強を教えるボランティアみたいのをやってみたいという思いもあったが、 募集対象が大学生だったり、そもそもわたしのコミュニケーション能力のなさから言って 難しいだろうと思って行動に移すことができないでいた。
それならお金を出すことで支援をしようと思って見つけたのが先に挙げたカタリバという団体だった。その後まもなくCFC(Chance for Children)という団体に鞍替え、教育格差の是正に力を入れていてカタリバより効果が見えやすいという印象を受けたからだ。
寄付先を世界へ
その後、効果的利他主義や、マイケル・サンデルの『実力も運のうち』などの本を読んだ。
自分が今のような状態にあるのは、自分自身の努力だけではなく、恵まれた環境や偶然に大きく左右されている。
そう考えていた自分の感覚に、これらの本は一つの裏付けを与えてくれた。
特に効果的利他主義の考えには共感できるところがあって、より多くの人を助けるためには世界に目を向けて活動している団体のほうがよいという視点で寄付先を選びなおすことにした。
世界で活躍していると言えば国連、そのなかで寄付できそうな場所を探すと
- 子どもの支援を行っているUNICEF
- 難民を保護するUNHCR
- 食料支援を行うWFP
などが挙げられた。その中でUNHCRの長官を務めていたことのある緒方貞子に関する本を読んで、この団体に寄付をすることに決めた。
それに加えて、効果的利他主義的な考えからすると誤りということになるのだが、私自身、適切な教育を受けたからこそ今の状態でいられるというのもあって、日本学生支援機構(JASSO/奨学金を出している機関)にも寄付を行うことにした。
現在の寄付額
最初は月1000円だった寄付も、その後月4000円程度になった。
さらに資産に余裕が出てくるにつれて、もう少し割合を増やしてもいいのではないかと思うようになった。
この頃には自分なりの考えがある程度定まってきていた。 UNHCRの寄付額を増やすかWFPを寄付先に追加するかで悩んだが、最終的には
- JASSO \2000
- WFP \4000
- UNHCR \4000
に落ち着いた。月1万円。 私にとっては、これくらいが無理なく続けられる金額だった。
どうして寄付をするのか
では、なぜ寄付をするのか。
人に「寄付っていいですよ」と勧めるなら、私はどう説明するだろう。
いくつか思うところを挙げてみる。
自己肯定感
身も蓋もないが、結局は自分のためなのだと思う。
何らかのかたちで社会に貢献したい。でも、自分にはその能力がない。
だから、お金を出す。
たぶん、こんなことを考える人間は少数派なのだろう。
それでも、少なくとも自分の中では「他の人より少しはまともなことをしている」という感覚を持てるようになった。
それだけでも、私にとっては寄付をする理由になる。
寄附金控除
ちゃんとした団体に寄付をすると、確定申告のときに寄附金控除を受けられる。
もちろん、払った額がそのまま戻ってくるわけではない。
それでも、寄付した金額の一部が税金の控除という形で戻ってくる。
言い方は悪いが、自己肯定感を少し割引で買っているようなものだ。
社会に対して関心を持てるようになる
WFPにせよUNHCRにせよ、紛争や災害が起こったときに活動している。
今や、こういったことは世界のどこかで日常的に起こっている。
そういうニュースを見たとき、単に「可哀想だ」と思うだけではなく、「自分も少しだけ支援に加わっている」という感覚を持てる。
お金を出しているからこそ、その先で何が起こっているのかにも関心を持つようになる。
勉強になる
寄付をしてみると、どんな団体なら控除を受けられるのか、確定申告ではどう処理するのかなど、税金周りのことも少しずつ分かってくる。
もちろん、お金を払わなくても勉強はできる。
けれど、結局のところ自分のお金を実際に出してみるのが一番手っ取り早い。
これは月500円くらいからでも十分できることだと思う。
いくら寄付するべき?
ピーター・シンガーなど、効果的利他主義を推している人の本を読むと、収入の1割を寄付するという考え方が出てくる。
ただ、それは結構な額になる。
私自身も、今のところそこまでは寄付していない。
だから「収入の1割を寄付しましょう」と人に勧めるつもりはない。
私が思うのは、まず自分にとって無理なく続けられる金額から始めればいい、ということだ。
月500円でも1000円でもいい。
実際に自分のお金を使ってみると、それまでとは少し違った形で社会を見るようになる。
私にとって寄付とは、誰かのために何かをするというだけではなく、 自分がどのように生きたいのかを考えるためのお金の使い方でもある。